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Zen Kishimoto「データセンターのエコ化」
データセンターとエネルギー業界、この2つを俯瞰的に調査・分析した調査レポートの販売が開始されている。このレポートは米調査会社AltaTerra Research NetworkのZen Kishimoto氏らによるもので、米国内からの視点で捉えているのが特徴だ(ただし英語版のみ)。国内ではラックへの供給電力不足とその排熱処理をこなしてグリーンITへの取り組みが進んでいる。一方で、米国はエネルギー効率化に無関心と思われがちだが、ここにきてグリーンニューディール政策から始まる米国内の一連の動きがデータセンターのグリーンIT次世代標準となることも予想でき、またもや日本が標準化に乗り遅れる可能性がある。米国の最新動向を追う。 文:編集部
世界的な経済不況が深刻化しつつあった2009年1月に米国でオバマ政権が誕生し、同政権が推進する政策のうち「グリーンニューディール政策」が注目されている。環境技術や省エネ分野に大規模に投資して、米国経済の立て直しを図る狙いもあるとみられているが、その先にあるものを注意深く洞察する必要がある。
なぜなら、これまでもITに関する標準の多くが米国主導で決められてきた歴史のとおり、データセンターにおけるグリーンITでも同様のことが起きる可能性があるからだ。米国の石油消費の大半を占めている自動車。その小型化やハイブリッド化、EV化に代表されるように、米国政府による省エネ志向の拡大を受けて、データセンター関連業界/ベンダーの態度が180度変わることも十分に考えられる。
データセンターにおいては、建屋の仕様設計や建設、電力供給や冷却などのファシリティ、そしてサーバーやネットワーク機器にいたるまで、あらゆる個所でグリーンIT対応がなされる。そして、それらを容易に組み合わせられるように規格化や標準化が進む可能性がある。自社規格が業界標準となればその分野の盟主になれるので、メーカーにとっては大きな利益が見込める。そのため、こうした規格化や標準化は必然の流れだろう。
データセンターにおける建屋やファシリティの耐用年数は、サーバーなどのIT機器に比べると長く、設備投資として考えた場合、そう簡単には交換できない。そのため、導入費用だけでなくメインテナンス性の高さや効率性、経済性も重要であり、大量生産され普及している「標準品」を採用すべきという結論となる。
しかし、この標準品を見極めるのが難しい。日本国内はAC100V、米国はAC110V、ヨーロッパはAC230V、国内でもホテルや工場などの一部ではAC400Vが使われていることからもわかるように、電圧1つをとってもさまざまな仕様なのが現状だ。データセンターにとって電源関係は重要な要素だが、世界的にみて圧倒的なスケールで量産されている安価な標準品かつ高効率なのはいずれなのだろうか。さらに、冷却や省エネ、データセンターが備えるべきクリーンな再生可能エネルギーといった分野でそうした標準を見極めていくためには、世界のIT大国である米国のデータセンター業界とエネルギー業界の2つの動向を把握しておく必要があるのは明白だろう。
とはいえ、一般的な日本人にとって、毎日、英語のニュースにまで目をとおす習慣はなく、米国で開催されるカンファレンスに何度も足を運ぶのも現実的ではない。
米国のグリーン・ビジネスについての米調査会社AltaTerra Research Network(以下、AltaTerra)は、米国内のデータセンター業界やエネルギー業界の動向を継続的に調査し続け、現時点での動向をまとめた調査報告書を発行している。こうしたレポートを参照すれば、米国内の最新動向を効率よく把握できるだろう。同社のZen Kishimoto氏らによるレポート「データセンターのエコ化」は、データセンターにおけるエネルギー効率改善へのアプローチと技術について、関連業界だけでなく、関係省庁も含め俯瞰的に調査している。同レポートそのものは英語版しかないが、今回、要約の日本語翻訳版の掲載許諾を得たのでここで紹介する。
Kishimoto氏は米国のデータセンター業界とエネルギー業界に精通した数少ない日本人アナリストとして活躍しており、2008年11月に東京で開催されたDatacenterDynamicsでは「日米のデータセンター:エコ化のチャンス」と題した講演も行っている。米国でもデータセンターのグリーンIT化が今後は急速に進むだろうから効率よくその動向を把握する必要があり、同レポートはもちろん、Zen Kishimoto氏の今後のレポートや講演にも注目すべきだろう。

- Zen Kishimoto
- AltaTerra Research Networkプリンシパルアナリスト。京都大学の電気工学科を卒業後、米Northwestern大学にてコンピュータサイエンスの博士号を取得。GTE、HPなどで研究活動を行い、NEC Americaのインターネット事業部設立なども手掛けている。25年以上にわたって、さまざまな技術分野にかかわってきた同氏の、ユーザーとベンダー、双方の視点に基づく調査報告やコンサルテーションは評価が高い。AltaTerraでは、おもにデータセンターとクリーンでグリーンなエネルギー分野を担当。シリコンバレー在住。
データセンターのエコ化
サステーナブルな電力消費効率化実現のためのフレームワークの作成
Zen Kishimoto・Don Bray
〈要約〉
コンピューティングとウェブベースの通信の増大に伴い、それを支えるデータセンターのエネルギー消費も増大の一途を辿っており、その結果、運用経費と二酸化炭素の排出も増加している。ベンダーは電力効率の高い新しい製品を種々開発、提供している。しかしこの問題は技術だけで解決できるわけではなく、ITマネージャーはビジネスや組織の観点に立ってこの問題に向き合うことも求められる。
データセンターのエネルギー効率改善に関しては既に数多くのレポートがあるが、その大部分は個別のアプローチや技術のみに焦点を当てたものである。このレポートは、ITのエグゼキュティブ、ファシリティの専門職、データセンターに技術を提供するプロバイダーにとって有効な参考資料となるよう、現在のデータセンターの最新情報を包括的に提供する。このレポートではデータセンターのエネルギー効率を3つのレベルに分けて説明する。この3レベルは相互に関連しており、短期および長期のエネルギー効率化に重要である。
戦略的なレベルでは、エコ化のゴールを明らかにし、それを測る指標を設定し、部門間の調整を行うことで、方向性を定め責任を明確にすることができる。戦略レベルの下にある2つのレベルでは、新しいアプローチや技術を効果的に導入することにより、データセンターでエネルギーと経費の節減を達成できる。政府支援策、コンソーシアム、ベンダー等の情報もこの観点から解説する。
このレポートでは、技術的な詳細ではなく、データセンターでのエネルギー消費削減とそれに伴う事業運営経費削減のためのアプローチと技術について俯瞰的に解説する。
| 〈目次〉 | 〈図と表〉 |
|---|---|
| 初めに データセンターでのエネルギー消費傾向 第一層:ゴールと指標 第二層:ビジネス構造 第三層:オペレーション データセンターのエネルギー効率化への提言 |
0.0.1 グリーンITのフレームワーク 2.0.1 米国データセンター電力消費:5つのシナリオ 2.1.1 環境庁とエネルギー省の関連したイニシャチブ 2.1.2 データセンターのエネルギー消費に焦点をあてたコンソーシアム 4.5.1 エネルギー節減のための組織構造 5.0.1 主なビジネス構造と設計要素 5.3.1 クラウド・コンピューティング:サーバー、ストレッジ、ネットワークによる仮想データセンター 5.4.1 3つのサーバーを統合して1つのサーバーへ 5.5.1 ストレッジと仮想化 5.5.2 ストレッジとその理想的な仮想化 5.6.1 Ethernet、ファイバーチャネルとインフィニバンドを統合する仮想化 5.6.2 ネットワーク:データーセンター仮想化のキー 5.7.1 データセンター内の配電 5.8.1 コールド・アイルとホット・アイルの封じ込め |
| 〈取り上げたグループ及び会社〉 | |
■コンソーシアム
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■ベンダー
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追加情報
このレポートを共同執筆したZen Kishimoto氏は、仕事柄も手伝って、日々、米国内のさまざまなサイトにも目を通している。そんな氏のブログは、氏独自の視点による問題提起や解決への模索、その時々の話題が取り上げられています。毎日更新されているので、米国発ニュースのサマリーとしても価値が高い。
■エコ・データセンター リサーチレポート(Greening the Data Center)
■Zen Kishimoto氏のブログ
- 日本語:the Art of Data Center Greening (Japanese) - AltaTerra
- Zen and the Art of Data Center Greening(英語)
■Zen Kishimoto氏 | AltaTerra Research Network




