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Part3 ネットワークの仮想化 Data Center Fabric

Brocade
Brocadeは、ストレージ分野に属する企業として認識されているが、もともとSANスイッチを中核製品としている。従来はSANとIPネットワークはまったく別物のように扱われていたが、データセンターなどの環境では将来的に「ネットワークファブリック」として両者を統合的に考えることが重要になると言われている。こうした状況をリードしてきたのもまた、Brocadeの功績のひとつと言えるだろう。
文:渡邉利和
データセンターファブリック
Brocade Communications Systems(以下Brocade)では、「データセンターファブリック(Data Center Fabric:DCF)」というコンセプトを掲げ、データセンターのネットワークインフラが備えるべき機能/特徴についてハイレベルな視点からのビジョンを提示している。DCFは“リファレンスアーキテクチャ”という位置付けであり、具体的な製品やソリューションに直結するものではないが、同社の製品は基本的にDCFのコンセプトを踏まえてデザインされていると考えてよいだろう。DCFはリファレンスというだけあってやや抽象的な部分も多いが、その分ユーザーごとの個々の要件の違いに引きずられることなく、おおよそどのようなユーザーに対しても当てはまる普遍的な考え方がよくまとめられている。
Brocadeでは、データセンター内でサーバーやストレージの統合(コンソリデーション)が行われ、統合のための技術として仮想化が利用されるのも当然だという認識だ。そのうえで、統合した際にデメリットが出ないようにするにはどのような要素を検討しておく必要があるか、統合されたデータセンターのリソースはどのような特質を備えているべきか、という点について検討を進め、その結果がDCFというアーキテクチャにまとめられたといえる。
DCFでの基本的な考え方は、データセンター環境での管理対象を「コンポーネント」から「アプリケーションワークロード」に転換するという考え方だ。ユーザーの最終的な目的はアプリケーションを効率よく安定して実行することにあるのは明らかで、その意味でこの考え方はごく当たり前ともいえるものだ。しかし、現実のデータセンターの運用では、やはりコンポーネントの管理に手一杯で、アプリケーションワークロードを管理できる体制にはなっていないことが大半だろう。これは、個々のコンポーネントを組み合わせて大規模なシステムを組み立てていくという現在のオープンシステムの複雑さのレベルが、現場の運用管理者の手に負えないレベルにまで達しつつあることの現れだ。そこで、統合/仮想化を行うことで管理対象の数を効果的に削減しつつ、より高レベルの運用管理が実現できるように環境を整えていく必要がある。目標として掲げるのは簡単でも、実現はとても困難を伴うコンセプトだが、現在の仮想化技術の進展は、ようやくこうしたコンセプトを実現可能な現実的なものとしつつある状況だ。
Brocadeでは、データセンターの構成要素を「アプリケーションドメイン」「ネットワークドメイン」「ストレージドメイン」の3つの仮想ドメインに分割して考える(図1)。この3つのドメインは、コンポーネントレベルの視点で見れば相互に物理的な従属関係を持っており、煩雑な管理作業を必要とする。しかし、各ドメインのリソースを仮想化してプール化することで、動的な環境へと変化させることができる。そのうえで、動的な環境を支えるためのインフラに何が必要かという視点で考えると、「さまざまなデバイスから同じアプリケーションにアクセスする際にも、同じプロファイル、同じ環境でアプリケーションが利用できる必要がある」ことが分かる。つまり、セキュリティやサービスレベルといったポリシーが物理的なデバイスに紐付けられている関係ではなく、アプリケーションドメインでポリシーを定義したら、以後どのような経路でアプリケーションにアクセスしたとしても、常に同一のポリシーが参照されるようになっていることが望まれる。こうした環境を実現するには、アプリケーション、ネットワーク、ストレージの各ドメインでそれぞれ最適化を行うのではなく、全ドメインに渡って全体最適を実現する必要がある。
●データセンター最適化の要件
DCFでは、「既存インフラの効率化」「効率的な拡張を可能にする」「管理スキームの最適化を実現する」という3つの要件を重視している。まず、まったく新しいアーキテクチャに基づくデータセンターとして、既存のデバイスやインフラをすべて放棄して、ゼロから新規に設計し直さないと実現できないようなアーキテクチャでは現実的ではない。そのため、既存のインフラをまず効率化し、段階的に全体最適化を実現できる必要がある。また、現在のデータセンターが直面する大きな課題のひとつが、動的な構成変更や容量拡張への対応能力なので、ここを確実に実現できる必要がある。最後に、管理スキームの最適化は、運用管理をコンポーネントレベルからアプリケーションワークロードレベルに引き上げるためにも不可欠だ。アプリケーションに対して論理的に設定を行うとしても、結局のところ、その設定を実現するためにはコンポーネントレベルでの設定が必要となる。つまり、アプリケーションワークロードのレベルでの管理を実現しようと思えば、それは必然的に物理的な個々のコンポーネントに対する設定や運用管理の自動化を実現しなくてはならなくなる。この部分では、高機能な管理ツールとともに、機器ごとの運用管理スキームの標準化も必要になるだろう。
●データセンターの統合の最適化
BrocadeのDCFでは、統合の最適化に求められる要件として「データ中心型&アプリケーション認識型」「高度な接続性」「統合化」「仮想化」「インテリジェント&適応型」「統合管理による高効率」「デジタル資産を保護するセキュリティ」「高いエネルギー効率」といった要素が挙げられている。こうした、データセンター全体の最適化を実現するために、ネットワークファブリックを土台として考え、そこで確実なエンドツーエンドの接続性や高速なデータ通信といった機能を実現することで、全体を統合/仮想化した際にも無用な遅延や接続断といった障害を起こさないことが、現状でのネットワークレイヤでの課題なのだとまとめることができそうだ。




