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仮想化時代の運用管理システム/Introduction

※ 当記事は「データセンター完全ガイド」2010年夏号(2010年6月30日発行)に掲載されたものです。

x86サーバーの仮想化技術はすでに実用段階に入っており、業務システムのサーバーを仮想環境に移行した事例も増えてきている。とはいえ、仮想化に対応した運用ノウハウが完成されているわけではなく、運用管理者の負担が重くなってしまっている例もあるようだ。仮想化を前提とした運用管理体制はどうあるべきなのか。各社の運用管理製品の現状から、課題と解決策ついて考えてみたい。

文:渡邉利和

仮想化の複雑性

仮想化技術の成熟によって、1台の物理サーバー上に複数の仮想マシンを稼働させること自体はさほどの苦労もなく実現できるようになった。現在では「仮想化がどんなものか試してみる」のはごく簡単なことだといってよいだろう。1台の物理サーバー上に2〜3の仮想サーバーを構築するだけなら、管理者にとってもさほどの負担増とは感じられないだろう。むしろ、サーバー集約を伴い、物理サーバーの台数を削減できるのであればトータルでの管理負担は減少することが期待できる。

とはいえ、「仮想化しても特に大変なことはない」といえるのは、物理サーバーの台数が数台程度の規模であり、トラブルの発生も織り込み済みのテスト環境での話だろう。数十台規模を超える物理サーバーのすべてが仮想化され、その上で物理サーバー数の数倍を超える数の仮想サーバーが稼働し、しかもそのすべてが実業務に利用されており、トラブルの発生が即クレームにつながるという環境であれば、管理者は涼しい顔をしているわけにもいかなくなってくる(図1)。サーバーの数が増え、システムの規模が大きくなると管理の負担も増大するというのは、何も仮想化環境に限った話ではなく、物理サーバーのみの環境であっても同じ事だが、仮想化環境の場合は物理サーバーよりも急速に管理対象の数が増大する。単純に考えても、物理サーバー上に仮想化プラットフォームを構築し、仮想サーバーを1台作成しただけでも、物理サーバー、仮想化ソフトウェア、仮想サーバーと管理対象が3倍に増大することになる。物理サーバーと仮想化ソフトウェアを合わせて1つのプラットフォームとみなしても2倍という計算だ。さらに、仮想サーバーの追加はごく簡単に行えるため、あっという間に管理対象数は数倍規模に増大することになる。

小規模展開から大規模環境への対応

図1 小規模展開から大規模環境への対応(出典:VMware)

もちろん、仮想化の導入に伴う、大きなメリットの1つとして、サーバー統合があり、物理サーバーの数は減少することが期待される(図2)。物理サーバーによる環境から仮想化環境へ移行する場合、システム規模を変えずに移行するなら、仮想サーバーの数が従来の物理サーバー数と同一になり、物理サーバー上で仮想サーバーを何台実行するかにも依存するが、物理サーバー数は従来の数分の1に減らせる計算になる。しかし、この場合でも物理サーバーと仮想サーバーが分離し、それぞれ別管理になることに伴って管理負担が増大することは避けられないのが実情だろう。ましてや、単に従来と同等のシステム規模を維持するためだけに仮想化が使われることは想定しにくい。システム規模を拡大したり、新しいアプリケーションやサービスを追加したりといった、複雑性が増大する方向に向かうほうがむしろ普通だろう。

サーバー統合によるコスト低減

図2 サーバー統合によるコスト低減(出典:日立製作所)

仮想化技術の導入は、運用管理負担を劇的に減少させる効果もある。サーバーイメージに可搬性が付与されることに伴うメリットは絶大で、従来の物理的なハードウェアに縛られていた環境とは比較にならない柔軟性が実現できる。これが大きなメリットになるのは、安定性や信頼性を最優先するような基幹業務系のサーバーよりは、むしろ身軽にどんどん変更を加えていくような手作りに近い体制で運用されるシステムで、開発やテスト、あるいはインターネット系のサービスを実行するサーバーであろう。仮想化技術の導入がトータルで運用管理負担の軽減につながるかどうかは、それまでの運用体制がどうだったかという点にも密接に関連するわけだ。さらに言えば、運用管理担当者が新しい技術の導入/習得に積極的なタイプかどうかにも強く依存するだろう。仮想化技術の導入そのものを楽しめてしまうタイプであれば、新たな管理手法の導入がまったく負担と感じられないこともありそうだ。とはいえ、企業全体という視点で見れば、新技術導入に伴う学習負荷は無視することはできないし、当人が楽しんで取り組んでいるかどうかに頼ってしまうわけにはいかないのはもちろんだ。

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